大きな変化はあるのか。キャリアモデルの弊害と良いところ

2019年に電波法の改正に伴い従来ように料金とセットにすることで端末の大幅値引きが禁止に。

ユーザー間の不公平を是正するという目的もありますが個人的な印象として総務省の狙いはキャリアは通信含めたサービスを提供するべきであって端末を餌にユーザーを獲得するべきじゃない。

総務省の横槍によってだいぶキャリアモデルもゆるくなってきた印象も受けますが今回キャリアモデルのデメリットやメリットについて改めてまとめたいと思います。

対応バンドとSIMロック。

メーカーの直販モデルが少しずつシェアを拡大してきたとはいえ市場全体で見れば1割程度。逆に言えば多くのユーザーはキャリアを通してスマホを購入する流れは変わっていません。

長らくキャリア主導で端末が開発されてきたこともありキャリアの要望に沿った端末をメーカーが開発。その結果ガラケー時代は日本独自の進化を遂げたガラパゴス携帯とまで呼ばれる。

一方でキャリア主導の開発だったからこそ日本メーカーがスマホ市場で大きく遅れをとったとの話もあります。なのでキャリア主導の流れは今でも大きく変わっておらず良し悪しがあります。

まず一つ目として対応バンドです。昨年の10月以降に発売された端末は全てSIMロックが禁止。そのためSIMロックはなくなりましたが端末自体の対応バンド自体は変更されていません。

総務省としてはキャリア間でユーザーがより流動的にすることで料金競争を発生させ安くさせる。そのため弊害となっていた一つであるSIMロックの禁止ですが現状ではあまり意味がありません。

例えばdocomoのキャリアモデルを使う場合SIMロックがないためauやSoftBankのSIMを認識します。ただ本体自体はdocomoのバンドに最適化されておりSIMロックがなくなったとしても対応バンドが増えるわけではない。

結果auやSoftBankのSIMカードと対応バンドが微妙という感じ。なので個人的にはSIMロックが禁止になっても結局そのキャリアのSIMで使うのが一番なのでほとんど意味がないようにも感じます。

なのでここで問題となってくるのは対応バンド。ネットではよくキャリアモデルのバンド潰しは悪質だと話題になります。確かにグローバルモデルの対応バンドと比較すればキャリアモデルの対応バンドはかなり限定的。

グローバルモデルは幅広い地域での販売を想定しているためその分対応バンドも広い。一方でキャリアモデルは日本でしか発売されない。そのため対応バンドが限定的に感じますけどそもそも自社のバンド以上に対応させる必要が基本ないため当たり前とはいえ当たり前。

また自分の認識違いだったら申し訳ないですがバンド潰しという言葉自体もちょっと疑問です。単純に国内で通信するための許可を得るための申請の時に自社のバンド分しか申請していない。

なのでバンドが潰されたというよりはキャリアが必要分しか申請していないというイメージ。

そして他のキャリアのバンドにも対応させるべきだという声がかなりありますが非常に簡単で対応バンドを増やした分本体価格が高くなる可能性が高いですがそれでいいかどうか。

国内で人気の高いiPhoneは直販モデルが用意されておりSIMを入れ替えて使いたいならキャリアモデルは買わず直販モデルを買えばいい。

そしてGalaxyなどキャリアモデルしかない製品は現状で諦めるしかなくどうしても使いたい場合は国がより乗り換えがしやすい環境を構築したのでそれ上手く使って乗り換えるしかない。

逆にPixelの場合はauはSoftBankからキャリアモデルを発売しているため対応バンドは最適化していますがdocomoの取り扱いはないため最適化せず。
特にdocomoが使っている特殊なB21とn79はコストカットのためか非対応のままとなっています。

個人的にはキャリアモデルに対応バンドが拡張されてその結果高くなるなら今のままでいい。それよりキャリアアグリゲーションなどキャリアのSIMで快適に使える方に注力して欲しい。

独自カスタマイズ。

一つ目に関しては弊害ではなく対応バンドの個人的な見解ですが2つ目としては独自カスタマイズです。ユーザーからすれば分かりにくいと思いますが直販モデルはメーカーが管理しているもの。

そしてキャリアモデルはキャリアが自社サービスに最適化させた独自商品となります。

なので例えばXperia 1Ⅲでみた場合直販モデルとキャリアモデルが3種類と合計4種類存在してSonyがサービスや販売などを管理しているものは直販モデルのみでキャリアモデルはキャリアのもの。

なのでキャリアごとに方針が異なるため同じXperia 1Ⅲでも扱うカラバリが異なれば価格も違う。

Xperia 1Ⅲの時は同じ製品なのにキャリアによって価格差がありすぎて話題になりましたがキャリアごとに仕入れ値なども異なる可能性が高く戦略があるので価格が違うのも当たり前です。

ただユーザーからすればややこしいことに違いはない。

キャリアアプリの存在。

そして特色が出るのがキャリアアプリ。国内で最初にiPhoneを取り扱ったのはSoftBankでその当時Appleは一つの国で扱うのは一つのキャリアと限定していたためSoftBank専売に。

ただ一番最初に交渉を開始したのはdocomo。ただキャリアアプリなど独自カスタマイズを譲らなかったためAppleとの交渉が決裂のとの話。

iPhoneでドコモメールの設定をした時がある人はご存知だと思いますがドコモメールの設定をするとdocomoのキャリアアプリが合わせて大量にインストールされる仕様となっています。

iPhoneに関しては削除が可能なためマシですがAndroidでプリインストールされているものはアンインストールが出来ないものが多く無効化するしかなくこれが非常に厄介。

Googleが言っている通り不要なアプリはアンインストールが推奨。個人的にキャリアアプリで使うのはdTVとdocomoの認証アプリくらいでそれ以外は要らないですがアンインストール出来ない。

またXperia 1Ⅲの時に話題になりましたがMy Daizが本体の発熱に影響している可能性。使わないアプリなどを通してバグや不具合につながる可能性もあればストレージも占有される。

キャリアとしても自社サービスを使って欲しいという気持ちはわかりますがせめて削除できるように。多くのユーザーは気にしないんだと思いますがユーザーに選択権が欲しいように感じます。

eSIMへの対応。

そして今年のAndroidがどうなるのか不明ですがほぼ間違いなくキャリアモデルはeSIMが潰される。キャリアとしては自社回線を使って欲しいからDual SIMなどにするメリットがあまりない。

仮にeSIMに対応したとしても物理SIM合わせてDual SIMではなくどちらかしか使えないSingle SIMになる可能性もあります。ただdocomoで見ればeSIMに対応しているAndroidは皆無。

SoftBankなどはPixelを扱っているためAndroidでも対象機種がありますがそれ以外はiPhone。結局大手キャリアもeSIMに対応したとしても使える機種に選択肢がないなら意味がありません。

ちなみにdocomoに関してはオンラインにおけるeSIMの再発行は5ヶ月近くメンテナンスで出来ない。eSIMに対応するかどうかはキャリアの判断だけではなくメーカー側の対応も必要だと思います。

個人的には全ての機種でeSIMに対応するべきとは思いませんがグローバルモデルで対応しているならキャリア版でも対応してほしい。現状だと使い勝手が悪く政府の指示通り対応しただけの状態。

AppleはiPhone 13でDual eSIMに対応。またGoogleもAndroid13でDual eSIMに対応するかも。eSIMに積極的になってきているメーカーがいる以上キャリアモデルも対応して欲しいです。

安く買えるメリット。

そしてキャリアモデルの個人的に感じるメリットとして値引きで購入できる可能性があること。直販モデルはメーカーが在庫を管理しておりキャリアモデルはキャリアが在庫を管理している。

現状だと新製品の割引は2万2000円までと上限がありますが発売からの期間によって割引上限が変更。キャリアとしても新製品が登場する前に型落ちになる製品は在庫の目処をつけたいため価格を改定することがあります。

直販モデルも在庫状況によって値下げが行われます。例えばXperia 1Ⅲは発売当初は15万後半でしたが発売から約5ヶ月で1万円の値下げとキャンペーン。そして先日にauオンラインショップにおいてXperia 1Ⅲは一度に4万円の値下げとなっています。

キャリアによって値下げの方法は異なりますがauは一括価格を改定してくるイメージ。docomoはオンラインショップ限定の機種変更特別割引などに追加して3万円近くの値引き。

価格改定が行われる頻度は少ないとはいえ一気に割引になることが多く魅力の一つに感じます。

また個人的にはあまりウエルカムではありませんが3月まで派手に行われていた叩き売り。条件があるとはいえ一括1円や実質24円など直販モデルでほぼ不可能な大幅な値引き。

直販モデルと比較すればキャリアモデルの方が安く購入できる機会は多いのがメリットだと思います。直販モデルに関しては総務省から割引の規制はない。

あくまでもメーカーがスマホという家電製品を売っているのと同じで基本通信料金などとセットになっているわけでもない。ただ直販モデルは製品を値下げすれば赤字になる可能性が高く安くなれば安くなるほど損をしやすい。

一方でキャリアモデルの叩き売りなどは通信料金が原資になっている可能性が高くキャリアとしてもユーザーを獲得して通信料金が増えた方が利益になるため端末を赤字で販売しても結果的に通信料金の方で黒字化できる可能性があるので直販モデルほどの痛手ではない。

メーカーにもよりますが補償サービスに関してはキャリアと遜色ないくらい充実している。ただメーカーの直営店はキャリアのショップと比較すれば圧倒的に少なくとも何かトラブルがあった時に直に相談しやすいのもメリットの一つに感じます。

まとめ。

キャリアは通信業に徹するべきで端末を販売するべきじゃないという声もよく聞きます。たしかにメーカーの直販サイトでそれぞれが端末を購入するようにすれば分かりやすいかも。

ただ今までの日本市場の流れを見るとハードルが極端に高くなる印象もあり難しいところ。またキャリアの通信含めサービスの強化はキャリアモデルが前提となっているため難しい。

今後もキャリア主導の販売が継続するのか。それとも大きく流れが変わってくるのか気になるところです。

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