2020年のハイエンドXperiaの完成度が高かったからこそ今年のXperiaは残念に思うユーザーが多い印象を受けます。その要因はSnapdragon888。Snapdragon888を搭載したことでパフォーマンスが高くなるどころか電池持ちの悪化や発熱の酷さにつながっている印象。
先日にはXperia 5Ⅲの開封レビューをさせて頂きましたが、Xperia 5シリーズといえば安定感がポイント。今回は近年で見れば最も完成度が高かったXperia 5IIとの比較レビューをしてみたいと思います。
デザインは僅かに変化。
手元にあるのがXperia 5Ⅲが台湾モデル/グリーンで、Xperia 5IIが国内版SIMフリー/ブルーです。ぱっと見のデザインはほぼ一緒です。カメラ部分がXperia 5Ⅲの方が大きくなったことくらい。
Xperia 5Ⅲ | Xperia 5II | |
本体サイズ | 157x68x8.2mm | 158x68x8.0mm |
重さ | 168g | 163g |
ぱっと見だとわかりませんがXperia 5Ⅲの方が厚みと重さが僅かに増しています。横幅が変わらず持ちやすさが一緒なので僅か5gとはいえ、Xperia 5Ⅲの方が少し重く感じます。とはいえXperia 5Ⅲも今季のハイエンドモデルの中では決して重い方ではないのでそこまで気にする必要性はありません。
ボタンの搭載位置。
Xperia 5Ⅲは縦幅が1mmスリム化しています。そのためボタンの搭載位置も僅かですがXperia 5IIより下に移動しています。ただ正直押しやすさが改善するとか悪化するとかの影響はほぼないと思います。
ボタンの硬さ。
Xperia 1Ⅲの時と同じくXperia 5Ⅲは押し間違いがないようにXperia 5IIによりGoogle Assistant専用ボタンが押しにくくなっています。本当僅かですが凹んでいます。なので意識的に押さない限りは問題ありません。
相変わらずですがGoogle Assistant専用ボタンはカスタマイズできません。基本はGMS非搭載となっている中国モデルのみカスタマイズ可能だと思われます。
そしてカメラキーですがXperia 5Ⅲの方がちょっと硬くなっています。なのでXperia 5IIと比較してフォーカスを合わせる時の半押しがしやすくなりました。Xperia 1ⅢやXperia 5Ⅲに慣れてしまうと、Xperia 5IIで半押ししようと思って間違ってシャッターをきってしまう感じです。
フロスト加工が魅力的。
手持ちにあるグリーンはめちゃくちゃかっこいいです。光の反射によってはシルバーみたく見え高級感をかなり感じます。ただ光沢感強めのデザインはXperia 5IIとカラバリの違いはあれど基本同じに感じます。
ここで悩ましく感じるのがXperia 5Ⅲの国内モデルはフロスト加工が採用されたシルバーとブラックがあること。光沢感が強めのデザインであるからこそ本体つがツルツルして滑りやすい。そして指紋が目立つデメリットをカバーしてくれます。
完全に好みの問題ですがフロストモデルを選べるのは一つの魅力だと思います。
ほぼ変わらないディスプレイ。
基本ディスプレイのスペックは一緒で特段変化はありません。
Xperia 5Ⅲ | Xperia 5II | |
ディスプレイ | OLED | |
ディスプレイサイズ | 6.1インチ | |
表示解像度 | 2520×1080 | |
アスペクト比 | 21:9 | |
リフレッシュレート | 120Hz(擬似的240Hz) |
もしかしたら採用されているディスプレイの世代が異なる可能性はあります。ただディスプレイスペックは基本一緒。
僅かな違いも
僅かですがXperia 5Ⅲの方が反射しにくくなっているような印象です。ちなみにXperia 5Ⅲの方が撮影時の光源に近いためより反射しやすいと思います。
海外サイトのレビューをみるとXperia 5Ⅲの方が最大輝度が低いとされていますが、基本比較しても違いはよく分かりません。正直気になるレベルではないと思います。一応ディスプレイ輝度を同じく30%にしていますが、Xperia 5IIは光源に近いためめちゃくちゃ反射してしまっています。
ちなみに晴れた屋外で使う場合はどちらの機種も輝度が低くて見にくいことに違いはありません。
本当に僅かですが、Xperia 5Ⅲの方がベゼルがスリム化している印象です。なのでものによってはXperia 5II用でも使えると思いますが、全画面保護用になると合わない可能性があるのでXperia 5Ⅲ用をちゃんと購入した方が安全です。
タッチ感度問題。
そしてXperia 5IIの時の最大のデメリットだったガラスフィルムを装着した場合のタッチ感度問題。Xperia 5Ⅲでは改善されています。ただまだ試したアクセサリーが限定されているため正確な評価は難しいですが完璧ではありません。
あくまでもXperia 5IIよりはマシという感じです。四隅など軽くタッチした場合だと反応しないことが多い。自分は右手でスマホを使いますが、前に戻るのジェスチャーナビゲーションで左側から中心にスワイプさせようとしても滅多に反応しない。
少なくともタッチ感度が気になる人はガラスフィルムではなく保護フィルムを購入することをおすすめします。
③スピーカーに大きな差。
Xperia 5Ⅲは本体のスピーカーで360 Reality Audioに対応。なのでスピーカー自体も進化していると思っていましたが、Xperia 5IIと比較すると、Xperia 5IIの方が音量が大きく、低音もしっかりしています。
好みの問題もあるかもしれませんが、個人的には明らかにXperia 5IIのスピーカーの方が優れているように感じます。正直比較した時はショックに感じました。
スピーカーの共振問題。
またXperia 5IIの時に特に話題となったスピーカーの共振問題。Xperia 5Ⅲはむしろ悪化しているように感じます。また共振と関係あるのか何とも言えませんが、着信時のバイブやロック解除時のバイブもかなり強くなっています。
バイブや共振をどう捉えるかユーザー次第です。共振がひどくなったと捉えるユーザーもいれば臨場感が増したと捉えるユーザーも。今回は共振という面で見れば悪化したと思います。
イヤホンは真逆。
ただ対象のイヤホンを接続している場合は、Xperia 1Ⅲと同様に音圧が改善されています。なのでXperia 5IIと比較してXperia 5Ⅲの方が音の輪郭がはっきりして低音が強化され臨場感がました印象。
また非対応コンテンツでも一部ストリーミングサービスで配信されている曲を360 Rality Audio相当にアップコンバートしてくれる360 Spitial Audioにも対応。より音が立体的に楽しむことができます。
スピーカーの場合はかなり微妙。ただイヤホンの場合はかなり進化している印象で、ユーザーの使い方によって評価が分かれると思います。
指紋認証は進化なし
世代によって評価が分かれる指紋認証。個人的にはXperia 1Ⅲが前モデル対比で進化していたためXperia 5Ⅲも進化していることに期待していましたが進化していません。なのでXperia 5IIと同じです。
Xperia 5IIでもXperia 5と比較するとだいぶ改善されているので文句はありませんが、Xperia 1Ⅲの快適さを知ってしまうと結構物足りなく感じてしまいます。
撮影する風景によっては。
画素数は一緒ですがXperia 5ⅢはSony製かつ可変式望遠レンズを搭載しています。それ以外のカメラセンサーはインカメラ含めて変更はありません。
風景を撮影してみた。
まずXperia 5IIの16mmで撮影。
次にXperia 5Ⅲの16mmで撮影。Xperia 5Ⅲの方が奥の芝生部分が白飛びしていないことを確認できます。
Xperia 5Ⅲの16mmで撮影。
次にXperia 5Ⅲの16mmで撮影。空を見上げるように撮影しましたが、このパターンだとXperia 5IIの方が明るく撮影できています。先ほどのように白飛びをしている感じでもありません。
次にXperia 5IIの24mmで撮影。
そしてXperia 5Ⅲの24mmで撮影。地面の光が強い部分だとXperia 5IIの方が白飛びしていることを確認できます。Xperiaのカメラは白飛びしやすいとの評価でしたが、着実に改善されている思われます。
次にXperia 5IIの24mmで撮影。
そしてXperia 5Ⅲの24mmで撮影。やはり地面の白飛び感が違う。またXperia 5Ⅲの方がこの鳥のオブジェクトの表面の質感を上手く撮影できていますが、Xperia 5IIの方はちょっとのっぺりしていることを確認できます。センサーは一緒ですがこうやって比較してみると改善されています。
次にXperia 5IIの70mmで撮影。
そしてXperia 5Ⅲの70mmで撮影。画質自体には大きな差を感じませんが、やはり空の色をより上手く表現しているのはXperia 5Ⅲです。
そしてXperia 5IIの70mmで撮影。
そしてXperia 5Ⅲの70mmで撮影。被写体が細かくなると画質に差があることをはっきりあることを確認できます。少なくともハードで見るとあまり違いがないように感じますが、ちゃんと比較すると細かい部分で改善されています。
接写してみた
次にXperia 5IIの24mmで接写してみました。
そしてXperia 5Ⅲの24mmで接写。今回の比較だとXperia 5IIの方が上手くフォーカスされています。
次にXperia 5IIの24mmで接写。
葉っぱの輪郭部分が曖昧などは変わらず。
そしてXperia 5IIの70mmで撮影。
そしてXperia 5Ⅲの70mmで撮影。葉っぱの部分は明らかにXperia 5Ⅲの方が綺麗に撮影できています。ただ両機種とも共通して狙った部分にフォーカスが入っておらず、奥の花にフォーカスが合っています。
フォーカスの進化。
Xperia 5Ⅲは全画角でDual PDセンサーを搭載。またAIの力を駆使して被写体を追跡してトラッキングできるオブジェクトトラッキング機能も搭載。なのでオートフォーカス自体はかなり進化しています。また先程のように白飛び対策などカメラのチューニングも強化。
ただ個人的にはフォーカス精度。特に接写する際の精度があまり改善されていなかったのはちょっと残念です。基本Photo Proではタップでフォーカスを合わせることが出来ないので、もうちょっとユーザーが意識している部分にAIが判断してフォーカスが合うようになっていればまた印象が変わったと思います。
ちなみにインカメラの画質と動画撮影の手振れ補正はXperia 5Ⅲで大幅に改善されています。
ほぼ変わらない基礎スペック。
基礎スペックは以下のようになります。
Xperia 5Ⅲ | Xperia 5II | |
OS | Android 11 | |
SoC | Snapdragon888 | Snapdragon865 |
RAM | 8GB | |
ROM | 128/256GB | |
SDカードスロット | ○ | |
バッテリー | 4500mAh | 4000mAh |
充電速度 | 30W | 18W |
ワイヤレス充電 | × | |
防水/防塵 | IP68 |
SoCが強化されバッテリーも大型化。また合わせて充電速度も強化。ワイヤレス充電非対応なのは残念ですよね。
発熱と安定性。
発熱具合を調べるためにAuTuTuでベンチマークを3回連続で回してみました。2回目はスコアが大きくあがりましたが、大体60万点前後のスコア。
そしてXperia 5Ⅲでも同じくテスト。ただなぜか今回のテスト時は調子が悪く1回目の計測中にフリーズが3回。その後計測は無事継続できましたが、1回目のもたつき以降、発熱/放熱がひどくあまり安定していない印象です。
Xperia 5ⅢはSnapdragon888搭載機種の中ではまだ発熱/放熱はマシな方ですが、Xperia 5IIと比較すると明らかに熱くなります。何より熱くなるとパフォーマンスが不安定になりやすいのもXperia 5Ⅲという印象です。
電池持ちはほとんど変わらない。
電池持ちに関してはXperia 5Ⅲの方が現時点では最適化されていないため、今後印象が変わるかもしれません。ただ現時点ではXperia 5Ⅲの方が僅かに悪いくらい。なのでほぼ同等の電池持ちというイメージです。
価格差をどう捉えるか。
執筆時点でXperia 5Ⅲのキャリアモデルの価格は明らかになっていません。ただ香港モデルが12万円ちょっと。このことを考えるとドコモ版は13万円以下が一つの目安になると思います。一方でXperia 5IIのドコモ版は発売当初9万9000円。
おそらく2万円以上の価格差があると思います。この価格差をどう捉えるか。国内版SIMフリーも直近で値下げされたことを考えると個人的にはXperia 5IIの方がおすすめです。
Xperia 5IIはアップデートのサポート期間が短いというのがデメリットです。ただこの価格差を納得させるほどの進化幅がなくSnapdragon888はやはりデメリットです。
主観でみればXperia 5Ⅲのフロスト加工や105mmの望遠レンズは楽しいのでXperia 5Ⅲの方がいいですが、おすすめしやすいとは決して言えないです。Xperia 5IIはキャリアのオンラインショップではほぼ在庫がなくショップでの在庫を狙う。もしくは国内版SIMフリーを購入するかです。気になる方はチェックして見てください。