昨年と同様に今年も深刻な半導体不足が継続すると予測されており、また韓国市場やアメリカ市場では史上最高の予約を獲得したGalaxy S22シリーズは供給が全く追い付いていない状況に。
これは半導体不足に加え、コロナの影響からもSamsungの生産体制にも問題があるとされています。Samsungにとって一時期はスマホ部門が稼ぎ頭でしたが今は半導体部門が圧倒的な稼ぎ頭。
今回SamMobileによるとQualcommはSamsung離れを加速させていることが判明したと報告しているので簡単にまとめたいと思います。
深刻な歩留まり問題。
TSMCのプロセスルールを採用するのか。それともSamsungのプロセスルールを採用するのか。世代によって異なりますが歴代Snapdragonを見ると、少なくとも近年そのサプライヤーはSamsungであることが多いです。
また一時期は契約の縛りだったのか最新のSnapdragonを搭載して最初に発売される機種はGalaxy Sシリーズという時があり、前年のGalaxy Note7のリコール問題で例年より発表が遅れたGalaxy S8シリーズ。
Galaxy S8シリーズが発売された4月下旬まで他のSnapdragon835搭載機種が発売できなかったということもあります。それくらいQualcommとSamsungは密接な関係になっていますが、その関係が崩壊する可能性があります。
事前情報からもSnapdragon 8 Gen 1のサプライヤーであるSamsungの歩留まり問題から、十分な供給が出来ないと判断したQualcommはTSMCに生産の発注をかけたとされています。
今回の情報においてもQualcommはTSMCと契約してSnapdragon 8 Gen 1の一定の割合をTSMCが製造しているとしています。Samsungの歩留まり問題はかなり深刻とされており、まとめると以下のようになります。
歩留まり率 | |
Snapdragon 8 Gen 1 | 35% |
Exynos2200 | 35%以下 |
Snapdragon 8 Gen 1でみた場合、100個生産したうち出荷できるのは35個しかない。Exynos2200に関してはそれ以下としておりかなり深刻な状況です。
この状況を見ればTSMCにQualcommが頼みたくなるのも分かります。
Samsung離れが加速。
また今回の情報によるとQualcommはSamsungのMX部門の幹部に対して4nmのSoCの注文を削減。さらに3nmプロセスルールを採用した次期SoCの注文をしないことを伝えたとしています。
現時点でSnapdragon 8 Gen 2がTSMCの3nmプロセスルールを採用するのか定かではありませんが、仮にそうだとして今後SamsungにSnapdragon 8 Gen 1の生産削減。そしてSnapdragon 8 Gen 2の生産は委託しないことになります。
一部情報でQualcommは発熱が大きな問題となっているSnapdragon888とSnapdragon 8 Gen 1の生産を早々に終了させ、TSMCに切り替わるSnapdragon 8 Gen 1+の開発/生産を前倒ししているとの話もあります。
今回の情報を含めるとSnapdragon 8 Gen 1+が例年より早く登場してもおかしくない状況に。Samsungとしては稼ぎ頭である半導体部門が大ブレーキとなっており、Snapdragon 8 Gen 1+で発熱問題が大幅に改善されるのであればSamsungのチップのイメージは最悪の状態になります。
少なくとも現状を打破する方法があるのか不明ですが、せめて自社開発であるExynos2200の歩留まり問題を解決できない限りは先が見えないようにも感じます。