日本国内では当初6月中旬以降の発売予定とアナウンスされたことからも、実際には7月上旬に発売され発売が遅かったなという印象があるかもしれません。ただグローバル市場では自分が把握している限り世界で2番目にXperia 1Ⅲが発売された地域になります。
アメリカやヨーロッパは先月末に発売と割と最近発売された地域が多いです。自分は中国版にdocomo版と約3ヶ月使ってきました。前回の2ヶ月レビューとはちょっと趣旨を変えてXperia 1Ⅲの癖が強すぎる理由について3ヶ月レビュー含めてまとめたいと思います。
①見やすさと綺麗は違うと感じるディスプレイ。
Xperia 1で初めてアスペクト比21:9が採用された時は良くも悪くも話題になりました。よく言われたのが縦長すぎる。ただ今はGalaxy S21 UltraやPixel 5 a5Gなどアスペクト比20:9を採用した機種が増えてきていることもありXperiaが特別に縦長という感じではありません。
それよりXperia 1Ⅲの特徴といえば4K/120Hz表示に対応していること。スマホの画面で4Kなんて搭載しても違いなんてよく分からないと言われます。人間の目だと300ppi程度以上になると認識出来ないと言われています。
なので逆にいえばスマホのサイズで見れば表示解像度はFHD+も要らずHD+程度あれば十分ということになります。ただ色の表現に関してはやはり違いを感じることが出来ます。特に有機ELディスプレイで表現が難しいとされている黒がより深みのある黒として表現されるので臨場感が違う。ただただディスプレイが高精細に感じること。ただただ綺麗。
ただ一方でXperia 1Ⅲのディスプレイ輝度は暗い。発売当初は700nits程度出るとされていましたが海外サイトのレビューを確認すると300nits程度しか出ない。例えばGalaxy S21は標準で800nits程度出ることを考えると、Xperia 1Ⅲのディスプレイがいかに暗いか分かります。
一般的に見やすいディスプレイとされるのはディスプレイが明るいこと。またコンテンツがより大きく表示されること。Xperia 1Ⅲはアスペクト比21:9を採用していることからも縦長デザイン。持ちやすく片手操作しやすいというメリットがある一方で横幅が狭いため表示されるコンテンツは小さくなりがち。
なので見やすいとされるディスプレイとは真逆です。Sonyとしてはもっとディスプレイは明るくしたいとか何かしらの制限があって出来ないのかもしれませんが、SonyはXperiaに見やすさではなく精細さに全振り。だからこそユーザーを選ぶディスプレイとなっています。
8月の炎天下の中ではたしかにディスプレイが暗くてほとんど見えませんでした。ただそれは他の機種でも一緒です。よほど極端な条件でなければ、意外とXperia 1Ⅲのディスプレイ輝度でも見えるので個人的には特段不自由していません。
②音質がいい=音量がでかいではない。
パンチホールにノッチスタイルを各メーカーはいかにベゼルレスにするかで競っている中Sonyはベゼルをあえて採用しています。その理由の一つとしてはパンチホールやノッチデザインを採用したくない。そしてもう一つはフロント部分にスピーカーのためのスペースを確保するため。
Xperia 1IIで復活したデュアルフロントスピーカーをさらに改良させています。まず名称をしっかりと決めフルステージステレオスピーカー。そしてスピーカーの自体の構造を見直すことで本体が共振しない仕様に。
また前モデルよりも音圧が40%改善され、より臨場感のある音を再生できるようになっています。実際にXperia 1IIと比較しても音圧が改善。低音がよりはっきり聞こえる。またそのせいか音量も大きくなった印象です。
イヤホンジャックを搭載していること。もちろんワイヤレスイヤホンも使えるためそこまで気にする人はいないのかもしれません。ただiPhone 12 Pro MaxやGalaxy S21 Ultraなど他社メーカーのフラッグシップモデルと比較すると音量は物足りないと思います。
各メーカーの機種がここまで音量が大きいことを考えると、音量が大きいというのはユーザーのニーズ。ただSonyは音量よりもスピーカーをフロント部分搭載して音の広がりや独自チューニングは施すなど、音質の改善に注力しています。
周囲の人と音楽や動画を楽しみたい人は音量の大きい機種がいいのかもしれません。極端な言い方をすればXperiaのスピーカーは一人でじっくりと楽しむ方にフォーカスされているのかもしれません。だからこそXperiaはユーザーを選ぶ機種に感じます。
③得意不得意がはっきりしているカメラ。
今のスマホのニーズはDxOMarkで高評価を獲得できる機種。AIを駆使してカメラソフトでバンバン加工する機種。スマホで撮影して、その後編集することもなく、SNSとかでいいねなどを獲得しやすい写真が撮影できること。
一方でXperiaはSonyのデジカメであるαシリーズに位置付けられています。なので目指す先が異なり、Xperiaに求められているカメラはデジカメと同じ。デジカメユーザーが本体を買い直す時に何を重要視しているのか。
アンケートをとって必ず毎回上位に入る項目が「フォーカス速度」「速写」としています。Xperia 1Ⅲでは特にフォーカス速度と速写に注力。そのために画素数は12MPに抑制。また全画角でのリアルタイム追跡機能への対応など。
またペリスコープを搭載しましたが、その目的は最大倍率を伸ばすためではない。可変式を採用したことで16mm/24mm/70mm/105mmと近距離から中距離までフォーカスに特化した4つの画角で撮影できるようにするため。AI超解像度ズームが12.5倍しかなくしょぼいとか言われますが、搭載した目的は画角間の補完するため。なので目的が違う。
PhotoProの搭載でマニュアル撮影に特化しているのも特徴ですが何よりフォーカスが特徴で、動く被写体を撮影する人にはぴったりの機種。逆に風景や動かない被写体の撮影となると持ち味がそこまで出るわけではない。
ただ一方でフォーカス速度の改善のためにTOFセンサーまで搭載したのに弱点となっているのが低照度撮影。Xperiaのカメラは現実をより忠実に撮影することがコンセプトになっているため低照度の環境だとせっかくフォーカスを合わせられても暗い写真しか撮影できない。
夜風景や夜空を撮影するのであれば三脚+PhotoProでカバーすることが出来ますが動く被写体となるカバーしきれない。カメラソフトによる加工感が最適限だからこ低照度に弱くフォーカスの持ち味が発揮できない。
あらゆるシーンにおいて手持ちでいかに簡単に撮影できるかがスマホのカメラに求められている中、Xperiaのカメラは得意不得意がはっきりしているからこそ何を撮りたいのかはっきりしている人にしか向かないカメラとなっています。
満足度は非常に高い。
先日にはXperia 1Ⅲのためにようやくアクセサリーを揃え終わったくらい気に入って使っています。10万円を超えるハイエンドモデルは個人的に癖があった方が使っていて楽しく所有欲も高い。
今はなんでもかんでもコスパが優先となっていますが、嗜好品の域に近いハイエンドにコスパは求めるべきではないように感じる。使っていてどれだけ楽しいか。どれだけ満足できるか。結果的に満足度が高い=価格に見合った価値がある=コスパがいいとなるなら分かりますが、コスパ優先で考えるならミドルレンジを選んだ方が幸せだと思います。
3ヶ月使ってきて思うのは早くSIMフリーが発売されたこと。やはりキャリアモデルはSingle SIMでeSIM非対応なのは不便に感じてしまいます。