先日にはQualcommがSnapdragon 8 Gen 1を正式発表。発熱に不安がある一方で同時期に発表されたDimensity9000は発熱の問題ないとされています。この2つのSoCの大きな差としてはSamsungの4nmプロセスルールを採用しているか。
それともTSMCの4nmプロセスルールを採用しているか。完成度という面ではTSMCの方が高く多くのメーカーがTSMCに依存している中今回Phone ArenaがTSMCへの依存もリスクがあると報告しているので簡単にまとめたいと思います。
TSMCのシェア率。
Qualcommに関しては近年Samsungに依存していますがSoCの世代によってはTSMCにも依頼。またQualcommを始めとしてApple/AMD/Intel/NVIDIAにMediaTekなど大手ファウンドリーがTSMCに半導体の製造を依頼しています。
ちなみにアメリカの規制強化でSoCを作れなくなっているHUAWEIもKirinチップの製造をTSMCに依頼。2019年時点とちょっと古いデータですが国別で見た場合TSMC含めた台湾はグローバル市場で半導体の63%を生産。
アメリカのシェアが12%で中国が16%であることからも世界中に出荷されている半導体は台湾にかなり依存していることになります。さらに現行のスマホに採用されている5nmプロセスルールなど高度な半導体に限定すると台湾のシェアは90%以上になるとしています。
逆に言うとスマホに求められる高性能な半導体は台湾以外ではほぼ製造することが厳しいとも言えます。
中国の懸念。
特に中国の台頭に対して危機感を強めているアメリカですが中国の台湾への干渉への危機感を覚えるとしています。中国は台湾と香港は自国の領土の一つとしており国と独立した存在を認めていません。
少なくとも香港は半ば強制的に統合されたような形となりましたが今後台湾に対して強硬手段をとる可能性を懸念しています。仮に台湾も統合されている場合、TSMC含めた台湾企業も中国の支配下になります。
仮にそうなった場合中国は半導体を切り札により強気な外交を推し進める可能性もあります。今後中国政府の許可がない企業じゃないとTSMCとやりとりができないような状況が発生する可能性も。
あくまでも今回の話は今後考えられるリスクの一つであり例え中国に台湾が強制的に統合されたとしても中国が半導体をキーに強硬外交とるとも言えません。ただ前々から分かっていたことですが一つの企業に依存するのはリスクが高いです。
ちなみに半導体の売上でみると2019年から2020年で6.5%増加しており、2021年5月の時点で前年対比26%と大幅に増加しています。パンデミックの影響が収まればある程度落ち着くと思いますが、現状でもよりTSMCへの依存が増している可能性もあります。
ただだからといって代わりになる企業はあるのか。Samsungなどが有力候補になってきますがTSMCと比較すると難しいところですよね。今後ファウンドリーがどのような製造体制を構築していくのか気になります。