2019年に新シリーズとなるXperia 1の登場以降。コンセプトを明確化してターゲット層がはっきりしたことで2020年度通期では約4年ぶりの黒字化に成功するなどコロナの影響を考えるとかなり好調とも言えます。
ただ今回Xperia復活の立役者ともなっている岸田社長がSonyを辞めたとの情報があるのでまとめたいと思います。
岸田社長の偉業。
岸田社長がモバイル部門のトップになったのが2018年。当時Xperia XZ2シリーズで完全に迷走中の頃でした。着任した当時部下たちを集め具体的な機種には触れていませんがこれが自分達が作りたいものなのか?と質問。
当時の部下は肯定しなかったとされておりまず自分達が作りたいものを作るところから始めたとしています。またコンセプトを決める際も隠しフレーズとして万人受け。つまり一般受けはやめることも含まれていたみたいです。
2018年に発売されたXperia XZ3の開発が開始する前からXperia 1のディスプレイの開発は開始していたことが判明。なので同氏が着任する前よりXperia 1のディスプレイは4K/有機ELでアスペクト比21:9を決定していたみたい。
ただそこにトリプルレンズカメラなどコンセプトに沿って出来上がったのがXperia 1だと思われます。また同氏の功績かは定かではありませんがSonyのカメラ部門と共同して開発したCinema Pro。
同じSonyとはいえ部門ごとの横の繋がりがなくカメラ部門と共同開発を進める上でも組織構造が弊害となり苦労。今は部門再編成で一つの部門になっているためSony全体での開発がよりしやすくなっています。
MWC2019で正式発表されたXperia 10シリーズですがそのモデル番号の命名規則からもおそらくXperia XA3として開発されていたものを名称だけ新しく採用。一方でXperia 1は完全に新しい存在に。
なので岸田体制になって最初に発表されたのがXperia 1。そのあとXperia 5シリーズを追加に。少なくともSonyは5G関連の技術の基礎研究のためモバイル部門を撤退させることはないことを明らかにしていました。
ただ同氏は着任以降に財務状況の改善に着手。製品のコンセプトの見直しにマーケティングの最適化。不採算地域から潔く撤退。さらに中期戦略を確認する限りでは台湾/日本/香港/イギリスを重点戦略地域に設定。
Xperiaのニーズが高い地域。かつXperiaのコンセプトに合致しているターゲットに集中的にマーケティング。また生産拠点となっていた中国の北京工場を閉鎖。ひと昔前は中国は人件費が安いとされていましたが今は安くない。
生産コストを抑えるために生産拠点をタイに変更。製品コンセプトを変更したからと言って売上が急には改善しない。なので赤字脱却のためにまず徹底的にコストカット。モバイル部門の人員も2000人程度異動になったされています。
また在庫の過剰はコストに繋がるのでXperia 1の売上が想定以上にヨーロッパで良かったみたいですが追加で生産することはほぼなく生産終了したとされており在庫管理もかなり厳しめに変更されたといます。
調子が良くても深追いをしない。またニッチ戦略を採用したことで販売台数はそのあとも減少が継続。ただこれは当たり前の流れ。
またコロナによりハイエンドモデルの販売がさらに厳しくなりましたが2021年の第3四半期あたりでついにプラスに転じています。もちろん同氏だけで成し遂げたことではありませんがようやくプラスに転じてきている今のXperiaの流れを作ったのは同氏に違いはないと思います。
不安も感じる。
今回の情報によると岸田元社長は日本電産に転職したとされており悲しいことに大きな話題になっていません。少なくとも現行の面白いラインナップを推し進めてくれたのが同氏なので新社長が今後踏襲するのか気になります。
2021年の2月に正式発表されたXperia PROも今のコンセプトをまさに体現したような機種になります。他のスマホメーカーで自社でデジカメを開発していないところなんてほぼない。
さらにデジカメを仕事で使う限られた層が頂いていた不満を汲み取ったのがXperia PROであり他のメーカーからいまだに類似商品はなし。なので欲しいと思った人にすれば本体価格関係なく購入する。
また昨年の12月に発売されたXperia PRO-I。開発者インタビューを確認する限りではAQUOS R6が登場した2021年5月より前には開発していたことが判明。
おそらくですがXperia PROと合わせて現行体制になってから開発が開始した機種の一つだと思います。5Gの対象範囲が拡大していることが影響しているのか。単純にYouTubeを始める人が増えたのか。その両方か。
デジカメ部門におけるVlogCamの売上がかなり順調。スマホよりいい画質のカメラで撮影したい。ただスマホで撮影していた人からすれば新たにカメラを持ち運ぶのは億劫になりがち。
そこでスマホとコンデジを一緒にしてしまったのがXperia PRO-Iという感じでスマホとしてハイエンドモデル。ただ専用アクセサリーを使うことでVLOGCamとしても快適に使える機種で市場のニーズを上手く汲み取っています。
PROシリーズはそもそもプロが使わないと批判されますがSonyとしてXperia PRO-Iはデジカメユーザーにとってセカンドカメラの立ち位置になることを意識して開発したとしています。
デジカメには及ばないものの気軽にかつデジカメと同じようにある程度こだわりを持って撮影できるようにという位置付けです。またXperia PRO-Iの名称からも今後PROシリーズに新たな分野に特化した派生モデルが登場してもおかしくない。
少なくとも最新機種は1年以上前から開発されていることが多いので社長が変わったからといってすぐにラインナップが変更されることはないと思います。ただ戦略が変更されれば来年あたりから変化する可能性も。
少なくともまた以前のように一般受けするマーケティングにすれば今度こそ個人的にXperiaは終わりだと思います。ユーザーの多くは価格優先ですが価格優先にすると他社メーカーの機種と差別化できず。さらに競争力もない。
また一度やめたコンセプトを簡単に戻すことも出来ないのでまた迷走するだけのように感じます。
一般受けを目指すべきじゃない。
どのメーカーもそうですが新製品を開発する際には明確な目標やこだわりを持って開発を進めていると思います。なので発表された新製品が微妙に感じたとすれば他の製品を選べばいいだけ。
Xperiaも昔はかなり人気があったため過去に使っていた人も多いと思います。そのせいか文句も言われやすい。よく縦長と言われますがTwitterやYouTubeのコメント欄を見ていると最新機種を使ってない人が多い印象。
また縦長を何を基準で判断しているのかよく分からないことも。縦長が嫌でXperia XZ2からGalaxy S21に変更。Xperia XZ2のアスペクト比18:9で最新のGalaxy S21は20:9でより縦長になっています。
ぱっと見の印象でデザインが細長く見えるから嫌なのか。それともアスペクト比で判断しているのか。実際の縦の長さで判断しているのかよく分からないです。
Sonyはもっとユーザーの声をきくべきだと言われますが批判している人自身が矛盾している行動をとっていることも多々見られるのでメーカーは参考にしない方がいい。
販売台数を増やしたい。シェアを拡大したいのであれば新規顧客を獲得するためにもいろんな意見を聞いた方がいい。
ただSonyのように販売台数やシェアに固執していない以上実際に最新モデルを購入してくれたユーザーの声を大切にした方が次につながるように感じます。少なくとも2019年以降のモデルとそれより前のモデルでは大きな違いがあります。
なので次に繋がるのは2019年モデル以降を購入してくれたユーザーの声を大切にした方がいいと思います。
個人的にはユーザーの声を聞きすぎると迷走するだけなのでユーザー声の中からSonyがやりたいことと一致するもののみ抽出して反映させればいいように感じます。
現行体制になってからSonyはSony製品が好きな人のみをターゲットにしたからこそいい流れになったと思います。これはXperia Xシリーズの時のように価格も優先してとターゲット層を広げるような流れになると危険です。
仮に価格を優先したいならコンセプトを変えるのではなくXperia 10シリーズをより強化すればいい。新しい社長になれば新しい考えかたになると思うので今後数年でXperiaに変化が訪れると思います。
ただ何より好きな人にとことん好きになって貰えるようにとハマる人は本当ハマる今の流れは続けて欲しいです。
まとめ。
早ければ今年の2月に発表される可能性があるXperia 1ⅣやXperia 5Ⅳの集大成のような端末かもしれません。
命名規則が変更されるか定かではありませんが今のニッチ戦略を採用したXperiaが好きな人にとっては今年のモデル。もしくは昨年のモデルはしっかりと購入しておきたいところにも感じます。
現体制となって4年目のXperiaがどのような仕上がりででくるのか今から非常に楽しみです。