Snapdragon 8 Gen 1のサプライヤーであるSamsungの歩留まり率の厳しさからQualcommの計画通りの供給が厳しい状況となっており、さらにSamsungの4nmプロセスルールを採用していることを影響しているのかここ2世代に渡って発熱がひどいSoCとなっています。
Qualcommとしてはせめて供給数を安定させるためTSMCとの契約を考えていたところ、Samsungからの虚偽のデータ報告が判明し急いでTSMCへの切り替えに着手しているとしています。今回Phone ArenaによるとSamsungは歩留まり率が改善していることが判明したと報告しているので簡単にまとめたいと思います。
歩留まり率が改善。
事前情報からも Snapdragon 8 Gen 1においてSamsungの歩留まり率は35%程度と非常に厳しく、自社製であるExynos2200に関してはそれ以下だとされており深刻な状況。一方で最大手であるTSMCは Snapdragon 8 Gen 1+の試験生産を行なっており歩留まり率は70%程度非常に安定している印象。
そして今回の情報によると、サムスンデバイスソリューション部門のCEOであるKyehyun Kyung氏は歩留まり率が改善していることを明らかにしたとしています。ただ残念なことにどの程度に改善したのかまでは不明。
プロセスノードが小さくなればなるほど生産するのは難しくなり、当たり前ですが生産効率を維持するのも難しくなります。なのでSamsungにとって今は踏ん張り時とも言えます。
半導体不足がより拍車がかかる可能性も。
QualcommはSamsungに見切りをつけSnapdragon 8 Gen 1の生産をTSMCに委託。さらに今後登場が予測されているSnapdragon 8 Gen 1+とSnapdragon Gen 2はTSMCのプロセスノードを採用し、サプライヤーもTSMCになるとされています。
その状況の中今回の情報はSamsungによるQualcommへのアピールだったと思われます。ただ問題となるのがTSMCの生産キャパ。少なくとも4nmを採用しているSnapdragon 8 Gen 1+はまだしも、3nmを採用すると予測されているSnapdragon Gen 2はかなり厳しい可能性も。
少なくともAppleはTSMCに対してAシリーズとMシリーズの注文しておりその量は莫大とされています。また先日の情報から半導体の製造に欠かせないネオンガスの供給が足りなくなる可能性がある中、Snapdragon Gen 2をどの程度生産できる余力があるのか。
Samsungと比較すればTSMCの方が生産効率がいいですが100%ではありません。Samsungの生産効率の悪さにより皺寄せが原因でTSMCがパンクしてしまった場合がより半導体不足に拍車がかかりそうで怖いです。